
朝ドラおむすび第117話では、愛子が糸島移住を考えながらも、家族との関係や自身の選択に葛藤する姿が描かれました。祖母・佳代との絆を大切にしたい愛子と、神戸で理髪業を続けることにこだわる聖人の思いが交錯し、家族の在り方が問われる展開となります。歩と結も母の悩みに向き合い、それぞれの視点からアドバイスを送りますが、どさくさ作戦による移住提案はあっさりと失敗。
一方、結は栄養士として田原詩と向き合い、食べることの大切さを伝えようと奮闘しますが、詩の心はなかなか開かれません。さらに、スポーツに打ち込んできた花が怪我を負い、人生の大きな転機を迎えることになります。歩の冷静な判断や励ましの言葉が花を支える一方で、家族・友情・仕事という多面的なテーマが絡み合い、登場人物たちはそれぞれの決断を迫られていきます。
今回は、愛子の決断や聖人の信念、そして結や歩の成長を軸に、朝ドラおむすび第117話の見どころを詳しく振り返ります。
- 愛子が糸島移住を考えた理由と家族の葛藤
- 聖人が神戸にこだわる理由と父としての信念
- 結が田原詩と向き合い、食べることの意味を伝えようとする姿
- 花の怪我を巡る歩の冷静な判断と家族の支え
朝ドラおむすび第117話|家族の選択と葛藤

愛子の決断、糸島移住の理由とは?
愛子は、コロナ禍の間に祖母・佳代と糸島で過ごした日々を振り返りながら、心の奥底にある葛藤と向き合っていた。コロナが落ち着き、神戸へ戻ったものの、佳代が見せた寂しげな表情が忘れられず、「祖母のそばにいたい」という気持ちが強くなっていた。しかし、簡単に決断できる話ではない。
彼女にとって糸島への移住は、単なる環境の変化ではなく、家族の在り方を再考する大きな転機となる。佳代は年齢を重ね、何が起こるかわからない状況だ。愛子は「今、そばにいることが大切なのではないか」と考えるが、一方で、神戸には夫・聖人がいる。彼の人生や思いを無視して、自分の気持ちだけで決めることはできない。
愛子は悩みながらも、家族の未来のためにどうするべきかを模索する。そして、自分だけで決めるのではなく、家族全員の意見を聞き、慎重に選択しなければならないと改めて実感するのだった。
聖人の神戸への思い、父としての信念
愛子が糸島への移住を考えている一方で、聖人には神戸に強い思い入れがある。かつて彼は、長年の夢だった床屋を営みながら、家族の生活を支えてきた。しかし、震災に遭い諦めざるを得なかった。
「もう一度神戸で床屋をやり直したい」——そう語る聖人にとって、神戸は単なる地元ではなく、人生をかけた場所だ。彼は病を乗り越え、ようやく再び理髪業に本腰を入れられるようになったばかりだった。そのため、今ここで「糸島へ移住しよう」と言われても、すぐに答えを出せるものではなかった。
また、聖人は「残りの人生を神戸のために尽くす」と決めている。彼にとって、それは自分の生きる意味であり、簡単に捨てられるものではなかった。愛子の気持ちも理解しながらも、「自分が大切にしてきたものを手放す覚悟ができるのか」と葛藤していた。
この状況の中で、愛子は「聖人の気持ちを知りながらも、移住の話を持ち出すべきなのか」とさらに悩むことになる。家族の将来のために何が最善なのか——その答えはまだ見えなかった。
歩と結の視点、母の悩みにどう応える?
母の悩みに直面した歩と結も、それぞれの立場から意見を持っていた。歩は、母の気持ちを尊重しつつも、「お母さん一人で糸島へ行くのも一つの選択肢では?」と提案する。しかし、愛子は「5年前にがんを患ったお父さんを一人にすることはできない」と即座に否定した。
一方で、結は「まずはお父さんに相談してみたら?」とアドバイスをする。しかし、愛子は「お父さんがどんな思いで神戸に戻ってきたかを知っているから、簡単には言えない」と苦悩する。結はさらに、「だったら、どさくさに紛れて言うしかないよ」と、冗談交じりに気軽な方法を提案するが、愛子はその軽さに戸惑う。
しかし、この提案が意外にも実行されることになる。後日、聖人がエクセルに奮闘し、合計を出して喜んでいるタイミングで、愛子は「二人で糸島に移住しない?」と切り出した。
この突発的な問いかけに、聖人は驚き、「どさくさに紛れて何を言うんだ」とすぐに否定する。そして、「佳代のことは俺がきちんと説得する」と言い、移住の話を打ち切る。
この結果を受け、結は「やっぱりこうなると思ってた」と苦笑し、歩は「本当に言うとは思わなかった」と驚きを隠せない。母の悩みに寄り添いつつも、二人は「家族全員が納得する形を探すべきだ」と考え始めていた。
どさくさ作戦の失敗、父の返答は?
愛子は、夫・聖人に糸島移住の話を切り出すタイミングを見つけられずにいた。彼女の悩みを聞いた娘・結は、「どさくさに紛れて言うしかない」と冗談交じりに提案する。聖人の機嫌が良い時を狙って、さりげなく持ちかける作戦だった。
その夜、聖人はエクセルに奮闘し、合計を出して大喜びしていた。この絶好の機会に、愛子は「お父さん、二人で糸島に移住しない?」とさらっと提案する。しかし、聖人は一瞬何を言われたのか理解できず、「今なんて?」と聞き返す。愛子がもう一度「二人で糸島に移住しない?」と繰り返すと、聖人は「どさくさ紛れに何を言うてんねん!」と即座に否定する。
「佳代さんのことは俺がきちんと説得する言うたやろ? なんで今さら糸島なんや?」と、聖人は真剣な口調で返す。愛子が「私は糸島が好きだし……」と食い下がるも、聖人は「残りの人生、好き嫌いで決められるか!」と一蹴する。話の流れは完全に断ち切られ、「この話は終わりや!」と聖人は取り合わなかった。
結と歩は、この展開を予想していたかのように冷静に受け止める。結は「うちは絶対こうなると思っとった」と呟き、歩は「本当に言うとは思わなかった」と驚きながらも苦笑いする。愛子は「どさくさ作戦、失敗した……」と肩を落とし、結に「これはあゆみのせいだからね!」と冗談交じりに責める。
しかし、話は終わったわけではない。愛子の中で、糸島移住の想いは消えたわけではなく、「どうすれば家族全員が納得できるのか」を改めて考える必要があった。
祖母・佳代との絆、家族の在り方を問う
愛子が糸島移住を考えた理由の一つに、祖母・佳代の存在がある。コロナ禍で一緒に過ごした日々は、彼女にとってかけがえのない時間だった。神戸に戻る時、佳代が見せた寂しそうな表情が忘れられず、「もっとそばにいてあげたい」という想いが強くなっていた。
佳代は「私はずっと糸島におる」と決めており、都会に出るつもりはない。愛子も「年齢的にも、何が起こるかわからない」と心配し、そばにいたいと願っていた。しかし、愛子が糸島に行くことで、夫・聖人と離れてしまうことになる。彼を一人にすることは、これまでの家族の歴史を考えても簡単には決断できない。
家族の在り方は一つではない——愛子はそう考えながらも、「家族のために最善の道を選ぶにはどうすればいいのか」と悩んでいた。結局、自分の気持ちだけではなく、聖人、結、歩、そして佳代の想いも尊重しなければならない。
家族の絆とは何か、共に生きるとはどういうことなのか。愛子の悩みは、単なる移住の問題ではなく、「家族とはどうあるべきか」という根本的な問いに繋がっていた。
佳代と過ごした時間は、愛子にとって大切な記憶となっている。しかし、それだけではなく、「これからどうしていくのか」を考える時が来ているのかもしれない。
この第117話では、家族の在り方について深く掘り下げられた。愛子の決断がどのように変化していくのか、そして家族全員がどんな未来を選択するのか、次回以降の展開がますます注目される。
朝ドラおむすび第117話|友情と成長のドラマ

栄養士・結の挑戦、田原詩との向き合い方
結は、管理栄養士としての仕事に誇りを持ちつつも、新たな難題に直面していた。それは、入院中の少女・田原詩(たはら うた)との関わりだった。詩は極度の栄養失調で入院しており、医療スタッフの勧めにも関わらず、まともに食事を取ろうとしなかった。
結は「栄養士として、食べることの大切さを伝えたい」と考え、詩と向き合うことを決意する。しかし、詩は「食べなくてもいい」「私がどうなったって誰も悲しまない」と心を閉ざしており、結の言葉にも耳を貸さない。
それでも結は諦めなかった。彼女は「おいしいものを食べることで、悲しみが少しでも軽くなることがある」と伝えようと、詩のためにプリンを用意する。「一口だけでもいいけん、食べてみん?」と優しく差し出したが、詩はそれを拒絶した。
「食べることで、少しでも前を向けるって信じてる」——結は、これまでの経験を振り返りながら、食事を通じて人の心を救うことの難しさを痛感する。しかし、それでも彼女は諦めず、詩が食べることを受け入れられる瞬間を信じ、寄り添い続ける決意を固めるのだった。
田原詩の孤独、食べることで変わる未来
詩は病院のベッドの上で、誰にも心を開こうとしなかった。彼女は「私が死んでも悲しむ人なんていない」と口にし、周囲との関わりを避けようとする。
結は「そんなことない」と否定し、「私は悲しい」と率直に伝える。しかし、詩は「あなたは他人じゃん」と冷たく返す。結は「他人とか関係ない。悲しいもんは悲しい」と言い切り、詩の孤独に真正面から向き合おうとする。
「おいしいものを食べたら、悲しいこともちょっとは忘れられるけん」——結はそう言って再びプリンを差し出す。詩は戸惑いながらも、「悲しいことを忘れられるの?」と小さくつぶやいた。
しかし、詩は結局プリンを口にしても「食べても悲しいことは忘れられない」と言い、結に下げるように頼む。
このやり取りを通じて、結は「食べることがすべての解決にはならない」ことを痛感する。それでも、「いつか詩が食べることで何かが変わる日が来る」と信じ、決して諦めないと心に誓うのだった。
歩の冷静な判断、花を支える言葉
花の突然の怪我は、彼女にとっても周囲にとっても衝撃だった。スポーツを続けることが彼女の人生そのものであり、その道が閉ざされる可能性があるという現実は、彼女の心を大きく揺るがした。病院で医師から「左足首の関節が内出血しているが、しばらく通院すれば回復する」と診断された。
そんな彼女を見守っていた夫婦。花が不安を抱えていたことを察した結は翔也に、ただ励ますのではなく、彼女の気持ちを尊重しながら、冷静に状況を整理した。
「今、一番つらいのは花なんだから、焦らずしっかり治すことが大事だよ」
この言葉は、無理にポジティブな気持ちを押し付けるのではなく、花自身の心情を受け止めながらも、前を向くための一歩を促すものだった。
家族・友情・仕事、ドラマが描く多面的なテーマ
第117話では、家族、友情、仕事という異なる側面が交錯し、それぞれのキャラクターの成長と葛藤が浮き彫りになった。
① 家族の選択と絆
愛子は祖母・佳代と夫・聖人の間で揺れ動きながら、「家族のそばにいること」とは何かを考え続ける。糸島への移住は彼女にとって「家族を守る」選択のように思えたが、聖人にとっては「人生を賭けた仕事と夢」を守ることが最優先だった。家族全員の幸せを考えることの難しさが描かれた。
② 友情と支え合い
田原詩と結の関係も、このエピソードの重要な軸だった。詩は「食べることの意味」を受け入れられず、結の言葉を拒絶し続けた。しかし、結は諦めず、「栄養士として人の人生を支えること」を信じ続けた。
③ 仕事を通じた挑戦
結が詩と向き合う場面では、「食事は単に栄養を摂るだけではなく、心にも影響を与えるものだ」というメッセージが描かれた。結は管理栄養士としての使命感を持ちながらも、目の前の現実に葛藤し、「どうすれば詩に食べることの大切さを伝えられるのか」と模索していた。
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