
朝ドラカムカムエヴリバディ第76話では、ひなたが時代劇の世界に飛び込む瞬間が描かれる。幼い頃から憧れていた映画村での撮影現場を訪れ、榊原の導きと映画村の裏側を知ることになる。そこでは、大部屋俳優として奮闘する五十嵐文四郎の成長と葛藤があり、クライマックスとなるラス立ちの迫力にひなたが息をのむ場面も展開される。
さらに、この回では美咲すみれ登場!憧れと現実の狭間に立つひなたが、彼女の苦悩とプライドを知ることになる。子供の頃に憧れていた女優が見せた意外な一面に、ひなたの夢と現実のギャップが浮き彫りになる。そんな中、五十嵐が見せた決意の言葉が彼女の心に大きな影響を与え、時代劇業界の厳しさと職人魂を改めて実感する。
この経験を通じて、ひなたの未来に芽生えた新たな思いとは何なのか。朝ドラカムカムエヴリバディ第76話の見どころを詳しく解説していく。
- ひなたが映画村の撮影現場で体験した時代劇の魅力と裏側
- 美咲すみれの現実とプライドが生む、ひなたの憧れとのギャップ
- 五十嵐文四郎の成長と時代劇業界での厳しい競争の現実
- ひなたが夢と現実を知り、未来について考え始めるきっかけ
朝ドラカムカムエヴリバディ第76話|撮影現場で広がる新たな世界

ひなたが時代劇の世界に飛び込む瞬間
ひなた(川栄李奈)にとって、映画村の撮影現場はまさに夢の世界だった。憧れ続けていた時代劇の撮影が行われているスタジオに初めて足を踏み入れた瞬間、彼女の目の前にはスクリーンで見てきた壮大な世界が広がっていた。
映画村のスタジオでは、時代劇『破天荒将軍』のクライマックスシーン、通称「ラス立ち」の撮影が行われていた。ラス立ちとは、主人公が悪党を成敗する迫力のアクションシーンを指し、殺陣の美しさや役者の技量が試される重要な場面だ。ひなたは、息をのむような真剣な演技に心を奪われ、時代劇の持つ力強さや魅力を肌で感じた。
しかし、ひなたにとってこの経験は単なる見学ではなかった。彼女は撮影現場の空気を感じ、俳優やスタッフの動きを目で追いながら、時代劇の制作の裏側に触れることになる。今まで視聴者として憧れていた世界が、実際にはどのように作られているのか、そのリアルな側面に直面することで、彼女の心の中に新たな感情が芽生え始めるのだった。
榊原の導きと映画村の裏側
映画村の職員・榊原(段田安則)は、時代劇の魅力と撮影の厳しさを知る人であり、ひなたにとって頼れる存在となる。彼はひなたに、撮影の流れや映画村の役割、さらには撮影現場のルールなどを丁寧に説明してくれた。
ひなたが目を輝かせながら見学する中、榊原は彼女にこう忠告する。「邪魔にならないように、端で静かに見ときや」。この言葉には、撮影がいかに繊細で、緊張感のある作業なのかというプロ意識が込められていた。
また、映画村はただの観光施設ではなく、数多くの時代劇作品が生み出される場所であり、多くの俳優やスタッフが日々努力を積み重ねる現場であることも榊原は説明する。特に、セットの細部にまでこだわり抜かれた背景や、小道具の使い方一つひとつに、リアリティを追求する職人たちの努力が詰まっていることを、ひなたは目の当たりにした。
「これが本物の時代劇の世界なんや……」
ひなたの心には、今まで単なる視聴者として見ていた時代劇とは異なる、新たな感覚が芽生え始めていた。それは、表に見える華やかさの裏にある、現場の熱意やプロ意識への敬意だった。
五十嵐文四郎の成長と葛藤
撮影の合間、ひなたはふとある人物の姿に気づく。それは、かつてのコンテストで出会った五十嵐文四郎(本郷奏多)だった。彼は悪党役の一員として撮影現場に立っていたが、ひなたが知っている彼の姿とはどこか違って見えた。
五十嵐は、「アラカン(嵐寛寿郎)の50倍の俳優になる」と豪語していたが、実際の彼はまだ下積みの大部屋俳優として、斬られ役すら任せてもらえない状況にいた。ひなたはそんな彼の立場を知り、少し驚きながらも、彼がどのような思いでここに立っているのかを考え始める。
「なんで斬られへんの?」とひなたが榊原に尋ねると、榊原は「五十嵐くんは養成所を出たばっかりやからな。斬られ役も鍛錬がいる。そう簡単にはできへん」と説明する。
五十嵐は表面上は冷静に振る舞っていたが、彼の表情には悔しさと闘志が入り混じっていた。誰もが最初からスターになれるわけではなく、努力と実力が求められる厳しい世界――それが時代劇の現場なのだ。ひなたは、その現実を目の当たりにし、彼がどれだけの覚悟でこの世界に飛び込んできたのかを実感する。
そんな五十嵐が、ひなたに突然こう言った。
「明日、第一スタジオに来い」
その言葉の意図を測りかねるひなた。しかし、彼の真剣な表情を見て、彼が何かを決意していることだけは伝わってきた。
「いったい、何があるんやろう……?」
ひなたの胸の中には、新たな疑問と期待が渦巻いていた。そして、それは彼女自身がこれからどう時代劇の世界と向き合っていくのかを考える、重要なきっかけとなるのだった。
ラス立ちの迫力にひなたが息をのむ
映画村の撮影スタジオに立ち、時代劇『破天荒将軍』の撮影を間近で見学することになったひなた(川栄李奈)。特に彼女が強い衝撃を受けたのは、クライマックスのアクションシーン――通称「ラス立ち」だった。
ラス立ちとは、時代劇の見せ場であり、主人公が悪党たちを成敗し、物語を締めくくる壮大な立ち回りのこと。舞台に立つ俳優たちの動きは、計算された殺陣の技術と身体能力が融合した、まさに芸術のようなものだった。刀の軌道、敵役のタイミング、迫力あるカメラワークが完璧に組み合わさり、ひなたは息をのむほどの緊張感を味わうことになる。
「こんな間近で見られるなんて……!」
目の前で展開される本格的な殺陣。剣がぶつかる音、俳優たちの鋭い掛け声、まるで本物の戦いを目撃しているかのような錯覚を覚えた。これまで画面越しに見ていた時代劇の魅力が、リアルな迫力となってひなたの五感を刺激する。
さらに、悪党役を演じる大部屋俳優たちの存在にも目を奪われる。彼らは主役級の俳優ではないものの、殺陣を完璧にこなし、見事な「斬られ役」としての役割を果たしていた。動きの一つひとつに工夫が凝らされ、主人公が際立つように計算された演技。これは単なるアクションではなく、職人芸のようなものだった。
「ラス立ちは、ただの戦いのシーンやない。俳優の技と魂が詰まっとるんや」
榊原(段田安則)の言葉が、ひなたの心に深く響いた。今までは単純に「かっこいい」と思っていた時代劇の世界が、裏方や俳優たちの努力によって支えられていることを知り、ひなたはますますその魅力に引き込まれていくのだった。
美咲すみれ登場!憧れと現実の狭間
時代劇の撮影に興奮するひなたの前に、思いがけない人物が現れる。彼女の幼い頃からの憧れの女優、美咲すみれ(安達祐実)だ。
美咲は、かつての人気時代劇『棗黍之丞シリーズ』で茶屋の娘を演じ、一世を風靡した存在。ひなたにとっては、スクリーンの中で輝き、理想の女性像として憧れていた女優だった。その美咲が、今日の撮影現場に姿を現したのだ。
「美咲すみれさん……!」
ひなたは思わず駆け寄り、緊張しながらも「サインをもらってもいいですか?」と尋ねる。美咲は微笑みながら快く応じるが、その後の態度がひなたの期待を大きく裏切ることになる。
映画村のスタッフが、美咲にステージショーへの出演を打診すると、彼女の表情が一変した。
「なんで私がこんなチャチなショーに出なきゃいけないの?」
驚くひなた。かつての美咲は、どんな役でも堂々と演じ、視聴者を魅了していた。しかし、目の前の美咲は、映画村のショー出演を明らかに軽視し、拒絶する態度を見せていた。
「私は美咲すみれよ? そんな小さなショーで客寄せパンダになるつもりはないわ」
強いプライドを見せる美咲。しかし、その裏には彼女自身の苦悩が垣間見えた。かつての人気は徐々に衰え、テレビの仕事は激減。東京での生活も決して順風満帆ではない。そんな現実の中で、彼女は「時代劇スター」としての自分の価値を必死に保とうとしていたのかもしれない。
ひなたは、美咲の態度にショックを受けつつも、彼女が芸能界の厳しさの中で生きる一人の人間であることを実感する。そして、子どもの頃に憧れていた理想の「美咲すみれ」と、現実の「美咲すみれ」の間に大きなギャップがあることに気づくのだった。
「夢見てた世界は、想像とは違うんやな……」
その瞬間、ひなたは自身の進む道について改めて考え始める。時代劇に対する憧れと、現実の厳しさ。その間で揺れ動くひなたの心は、少しずつ変化し始めていた。
朝ドラカムカムエヴリバディ第76話|登場人物たちの心の動き

ひなたの夢と現実のギャップ
憧れ続けてきた時代劇の世界に飛び込んだひなた(川栄李奈)だったが、撮影現場を間近で見るうちに、これまで思い描いていた夢と現実の違いを痛感することになる。
映画村のスタジオで撮影された「ラス立ち」のシーンでは、主人公が悪党を次々と倒す迫力のある殺陣が繰り広げられていた。ひなたは、そのダイナミックな動きに圧倒されながらも、ふと俳優たちの緻密な演技や計算された動きを目にする。これは単なるアクションではなく、入念なリハーサルと鍛錬の末に生まれたものなのだと実感する。
「こんなにすごい世界やったんや……」
一方で、スクリーンの裏側には華やかさとは対照的な、厳しい現実もあった。大部屋俳優たちは何度も斬られ役を演じ、撮影が終わるたびに監督の指示を受け、次のシーンに備える。主演俳優たちもまた、一つのシーンを完璧に仕上げるために何度も同じ動作を繰り返し、息を切らしながら演技を続ける。
さらに、ひなたが驚いたのは、憧れの美咲すみれ(安達祐実)の態度だった。ひなたの中で理想として描かれていた美咲は、スクリーンの中で輝く女優の姿だった。しかし、現実の美咲は、自分の立ち位置や出演する仕事に対して強い不満を持ち、プライドを守ろうとしていた。その姿を目の当たりにしたひなたは、夢見ていた世界が決してキラキラしたものばかりではないことを痛感する。
「私、ほんまにこの世界で生きていけるんやろか……?」
夢に向かって進もうとしていたひなたの心に、迷いが生まれる。それでも、彼女の中で時代劇に対する情熱は消えていなかった。現場の厳しさを知ったからこそ、自分が何を目指すべきなのかを改めて考え始めるのだった。
美咲すみれの苦悩とプライド
かつて一世を風靡した時代劇女優・美咲すみれ。彼女は『棗黍之丞シリーズ』で人気を博し、視聴者から愛されていたが、その後のキャリアは決して順調ではなかった。東京へ進出し、さらなる活躍を目指していたものの、現実は厳しく、仕事の機会は減少していた。
そんな美咲が、今回『破天荒将軍』の撮影現場に姿を現した。しかし、彼女の態度はひなたの想像とはまるで違っていた。
映画村のスタッフから、時代劇ショーへの出演を打診された美咲は、明らかに不快そうな表情を浮かべる。
「なんで私がこんなチャチなショーに出なきゃいけないの?」
彼女の言葉には、自分が過去のスターとして扱われることへの抵抗がにじんでいた。かつてはドラマの主役として脚光を浴びていた美咲にとって、映画村のショーは“格下”の仕事に映っていたのかもしれない。しかし、現実として彼女に選択肢は少なくなっており、それを受け入れるかどうかが問われる状況にあった。
「私は美咲すみれよ? そんな小さなショーで客寄せパンダになるつもりはないわ」
プライドの高さが邪魔をして、素直に受け入れることができない美咲。しかし、その一方で、彼女がどこか焦っているようにも見えた。東京では思うように仕事が取れず、俳優としての存在感が薄れつつあることに気づいているのかもしれない。
美咲の言葉を聞いて、ひなたは言葉を失った。憧れていた女優がこんなにも苦しんでいることを知り、夢の世界が単なる理想ではないことを思い知らされたのだった。
五十嵐が見せた決意の言葉
一方、ひなたは撮影現場でかつての知り合い・五十嵐文四郎(本郷奏多)と再会する。彼は今、大部屋俳優として悪党役を演じていたが、まだ斬られ役にもなれず、下積みを続けていた。
かつて「アラカン(嵐寛寿郎)の50倍の俳優になる」と豪語していた五十嵐。しかし、彼の現状は厳しく、夢を叶えるにはまだまだ遠い道のりが続いていた。
「なんで斬られへんの?」
ひなたが不思議そうに尋ねると、榊原が静かに説明する。
「五十嵐くんは養成所を出たばっかりやからな。斬られ役も鍛錬がいる。そう簡単にはできへん」
五十嵐は淡々と撮影を見守っていたが、その目には強い決意が宿っていた。
そんな彼が、撮影後、突然ひなたに言い放つ。
「明日、第一スタジオに来い」
「えっ? なんで?」
「来ればわかる」
短い言葉だったが、そこには五十嵐なりの覚悟が込められていた。彼は今の自分の立場を受け入れつつ、それでも負けずに夢へと向かおうとしていたのだ。
ひなたは戸惑いながらも、彼の言葉の裏にある想いを考える。五十嵐は何を見せようとしているのか? 彼の決意とは一体何なのか?
ひなたは、五十嵐の誘いを受け、再び映画村の世界に踏み込むことを決意するのだった。
時代劇業界の厳しさと職人魂
時代劇の世界に憧れを抱いてきたひなた(川栄李奈)にとって、映画村の撮影現場は夢のような場所だった。しかし、実際にその裏側を目の当たりにすることで、彼女はこの業界が決して華やかなだけではないことを痛感する。
時代劇の撮影は、一見すると華やかでスムーズに進行しているように見えるが、細部に至るまで綿密な準備と計算がなされていた。大掛かりなセット、細かく調整された照明、そして何度も繰り返されるリハーサル。そのすべてが、時代劇という世界を成立させるために欠かせない要素だった。
特に、職人たちの仕事ぶりはひなたにとって新鮮だった。例えば、小道具の刀一つとっても、時代考証に基づいて選ばれ、適切な重さや質感が再現されている。衣装部門では、俳優たちが動きやすいように仕立て直し、時代背景に合わせたデザインが施されている。そして、殺陣指導の専門家たちは、剣さばきの一つ一つに意味を持たせ、観客が見ても違和感のない動きを作り上げていた。
「これが、時代劇を支える職人の魂なんやな……」
榊原(段田安則)の言葉を思い出しながら、ひなたは感嘆の眼差しで撮影現場を見つめる。表に出る俳優だけでなく、多くの人の努力と技術が合わさることで、時代劇という作品が成り立っているのだ。
しかし、その一方で、この業界の厳しさもひなたは感じ取っていた。俳優たちは常に競争にさらされ、大部屋俳優たちは少しでも目立つチャンスを得るために必死だった。五十嵐文四郎(本郷奏多)もその一人であり、まだ斬られ役すらもらえない立場にいた。
また、美咲すみれ(安達祐実)のように、かつては人気を誇ったものの、時代の流れとともに苦しい立場に立たされる俳優もいる。時代劇がかつてほどの人気を持たなくなっていることも、業界の厳しさを浮き彫りにしていた。
「この世界に入りたいって思ってたけど……こんなにも厳しいんやな」
ひなたの胸には、憧れとは異なる、新たな思いが生まれ始めていた。
ひなたの未来に芽生えた新たな思い
映画村での体験を通じて、ひなたは自分の中で大きな変化を感じていた。
もともと、彼女が時代劇に興味を持ったのは、祖母や母が愛していたからだった。スクリーンの向こうに広がる世界が魅力的に見え、憧れを抱くようになった。しかし、実際に撮影現場に足を踏み入れたことで、その裏側にある努力や厳しさ、そして時代の変化を目の当たりにすることになった。
「時代劇って、単にかっこいいだけやなくて、たくさんの人が支えて作り上げてるんや……」
ラス立ちの迫力、美咲すみれの現実、五十嵐の葛藤、そして職人たちの技――すべてが、ひなたに新しい視点をもたらした。そして、彼女は自問する。
「私も、この世界の一員になりたいんやろうか?」
夢と現実のギャップを知ったことで、彼女の中で初めて、本気でこの道を考えようという思いが生まれる。単なる憧れではなく、もし本当にこの世界に進みたいなら、自分には何ができるのか。
そんな思いを抱きながら、ひなたは改めて五十嵐の言葉を思い出す。
「明日、第一スタジオに来い」
彼は何を見せようとしているのか? 彼がひなたに伝えたかったこととは何なのか?
まだ答えは出ていない。それでも、ひなたの心の中で何かが大きく動き始めていた。そして、それが彼女の未来を大きく変えていくことになるのかもしれない――。
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